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人の風景
画面に墨を落とし、その細かな墨の粒子と水の流れが描き出した形から、記憶の中の風景に近い場所を探るように描きます。
自分自身でもあり他者でもある「人」の風景を描いたこの作品には、風景と普段私たちが呼び眺めるものの中には、
人の営みによってその形成に影響のある部分が多分にあるという考えを絵にしています。
水が乾く際、絵の具の粒子はその引き際に沿って層を形成していきます。
大地に雨が降り、土地が削られて地形を作るように、自然現象を模倣するように水と粒子を流し描いていきます。
ただし、それだけではただの絵の具の塊でしかありませんので、常に目の前の絵がどのような風景に見えるか・見えているか、に気を配り、
記憶の中の風景の色や形と照らし合わせながら進めていきます。
鑑賞者が画中に作家の息遣いを感じるのではなく、ただ存在しているだけの自然の風景のような絵画を描くことが制作のテーマです。
人の意思を100パーセント通すことが難しい水を用いることで、画中から余分な熱が取れフラットな画面となるのではと考えています。

人の風景_III
天竺綿キャンバスパネル,日本画
30号F(910mmx727mm)
2017

人の風景_XXXI
天竺綿キャンバスパネル,日本画
50号P(1167mmx910mm)
2021
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