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人の存在する場所に風景は生まれ、

そして記憶となる。


記憶とは時間の形であり、人である。
それらを記録し、記憶するための地図としての絵画を制作しています。 

制作のはじめ

 私の生まれ育った町は、桜の名所として知られる土手があり、田んぼに囲まれた長閑な町でした。田に水が入る時季、夕刻の空と大きな送電線がこの水鏡に大写しになるのが好きで、自転車に乗りながら飽くことなく、足元に広がるその光景を眺めていました。

夜は足元が溶けそうなほど暗く、遠く空の奥や水の底を眺めているとやってくる、重力の反転する感覚を楽しんでいました。

今も制作の中心にはこの頃の光景と感覚があります。

時間に追われる日々で暮らすうちに、育ってしまった意識と知識が、今はなかなか重力を反転するような感覚にまで連れ出してはくれませんが、この感覚を常に形に留めるため、絵画に置き換えています。

​一切の声や音が遮断され、自己の意識すら感じないクリアな状態の視界に、人が共通して見ているものが見えると考えています。そんな正しく見ることのできる風景を見るために制作をしています。